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『天使の鬱屈』 感想
『Requiem For An Angel』と題された三部作の内、三作目を読みました。

『天使の鬱屈』の原題は『The Office of the Dead』

天使の鬱屈 天使の鬱屈
A. テイラー (2006/02/16)
講談社

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夫と別居したウェンディは、友達のジャネット・バイフィールドの元に身を寄せる。ジャネットの夫であるデヴィッドは神学校の副校長。
教会付属の図書館で働き始めたウェンディは聖職者にして詩人のフランシスに興味を持ち、彼について調べてゆく。
一方、バイフィールド家の周りでは奇妙な出来事が起こる。


CWA最優秀歴史ミステリー賞を受賞しているので、例えば『時の娘』の様に実在の人物を扱った小説なのかと思ってましたが、詩人・フランシスは架空の人物です。
聖職者としての“立派な人物”と“醜聞の王”、この相反する評価をフランシスが受けているのは何故かを、ウェンディが調べて行きますが、その過程が読み応えあります。

一方、バイフィールド家ですが、娘のロージーは前2作で出てきた人物とあって、謎の方はだいたい見当がついてしまいます。

謎の方はフランシスで楽しみ、こちらの方は心理小説としての楽しみと言う構成だと思います。

読むべきところは、事件が起こっていく過程で、何故このようなことになってしまったか、むしろ“何を見過ごし”、“何に打つべき手を打たなかったか”だと思います。
それが三部作で、出来事を逆にたどって行くことで楽しめることだと思いました。
ウェンディは『天使の遊戯』に登場したマイケルの母です。
この3部作は両家にまつわる物語なのです。

冒頭、ロージーの言葉。
「わたしはいない。」
“いない”、それが私の名前だといいます。
“完璧な人間はいない”って言うでしょ、だから・・・。
即ちこの幼女は、私は完璧なのよと言っている訳です。
この傲慢さ。
この時点で何故ロージーは自分をそう思ってしまったのでしょう。
そして何故それは修正されないままに物語りは進んでいってしまうのでしょう。
聖職者として人を救うことを自分の仕事としていながら、結局は自分の事にしか興味がなく、時代的に仕方がないとは言え、妻を理解することも助けることもせず、ロージーと言うバケモノを作っていってしまったデヴィッド。

またロージーは曲がりなりにも、本人としては相手の望みを叶える、救う気持ちで事を起こしてます。
そう言う意味でも、三部作の中でロージーがしでかす事の原点が描かれています。
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テーマ : 海外小説・翻訳本
ジャンル : 小説・文学

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