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金曜日のラララ 1
彼が歌っている。
中庭を持つ“ロ”の字型の校舎の西棟二階にある第三音楽室は、放課後、軽音部のテリトリーとなる。
彼は県道に面した窓側の机に腰掛けて、ぼんよりと外を見やりながら、この夏、とても流行ったバラードを口ずさんでいる。
ラララ・・・、とメロディーをなぞる声は、その歌を歌うボーカリストがそうであるように。高音部でかすかにかすれる。
晩夏の、夕暮れの日差しはもはや熱を失い、彼の横顔に寂しげな陰影を彫る。
私は、そう整った顔立ちでもない彼が、何故あれ程に女の子たちの心を騒がせるのか、胸の痛みと共に思い知る。
「ラ・ラ・ラ・・・。」と私は声を重ねる。
私と彼の声質は相性が良く、とても綺麗にユニゾンする。
開け放たれた音楽室の引き戸に寄りかかっている私に気づき、彼はデュエットを楽しみ始める。
すると私達の歌は、上質のシルクのように、柔らかな金色の西日に染まり、静かに時を織る。
「なぁ、麻美。」と彼が、まるで歌の続きのように私に呼びかける。
「このまま時が止まっちまえば良いのにな。」
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